非行に走る子どもと親の関わり
少年犯罪がニュースで報道される時には心が痛みますが、自分の子どもが非行に走ってしまう場合はもっと心が痛むものです。犯罪とまではいかなくても、いじめや喫煙、飲酒など不正な行動を取ってしまう時は当惑します。
「非行に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究(→ 参考資料)によると、非行に走った子どもの幼少時の子育てについて、「子育てが大変で手のかかる子どもだった」と回答した人が26.9%なのに対して、「ふつうの子供だった」が42.9%、「手のかからない子供だった」が13.7%、「言うことをよく聞く子供だった」が10.8%という結果になりました。
つまり幼少時に問題を起こさなかった子供が非行に走ることがあるということです。また子供が荒れ始める以前の子供との関わりについても、ある程度コミュニケーションが図られていました。
また子供が荒れ始めた時期も親は厳しく対応しているという結果も出ています。こうした結果を見ると、子どもの非行の原因が必ずしも親の怠慢とは結びつかないことが分かります。
非行に走る子どもに足りていないこと
同じ調査では非行から立ち直った少年へのインタビューの結果も載せられています。これによると、以下のような要素が非行にいたる背景にあることが分かりました。
- 親の多忙による孤独
- 親の病気や死
- 親の浮気や離婚
- 親の厳しいしつけ
- 虐待やネグレクト
- 親への反抗
- 親からの期待に対する負担感
- 兄弟に対する劣等感
浮気や離婚や虐待やネグレクトについては論外ですが、一見悪いとは思えない事柄が子どもの心にプレッシャーとなっていることが分かります。
例えば多忙であることやしつけの厳しさ、子どもへの期待などについては、親側と子ども側との間に感覚のずれが生じる場合を示唆しています。
非行に走る子どもには、自主性を尊重されることやほめられること、自尊心、親と過ごす時間などが足りていない場合が少なくありません。
親はバランスよく子どもの意思を尊重することが大事
親は子どもを監督する責任があります。また道徳観などある程度の教育を施さなければいけません。とはいえ過度の期待をかけたり、厳しく言動を規制すると逆効果です。
そのような対応をした場合、子どもは親を見守る存在ではなく監視する警察官のような存在として見るリスクがあります。子どもは一人の人間であり、親とは感覚も考え方も違う場合があることを理解することが、子どもの非行を防ぐ第一歩です。